相続税を計算するイメージ図

こんにちは!マサユキです。

今回は持ち家が相続の対象となった時に、どのような方法で評価されるのか解説していきたいと思います。

併せて小規模宅地などの特例についても詳しく解説しますよ。

相続税は身近になった

まずはじめに相続税というと、かつてはお金持ちのみが考えなければならない問題のように言われていましたが、現在法律が変わり、かなりの人が考慮しなければならない問題になってきています。

さらにこれからの高齢化社会による社会保険料の増大などを補うために、消費税などと並んで相続税は有力な財源候補とみなされていますので、さらに控除額が減少するなど誰もが意識せざるを得ない税金になることも考えられます。

その中で持ち家は金額が大きいだけにしっかりとした相続税対策を考えておかないと思いもよらぬ多額の税金を取られる羽目になります。

相続税評価は固定資産評価とはちょっと違う

相続税を計算するために現金以外のものは現金に換算して計算する必要があります。そこで評価額というものが算出されますが、固定資産の場合はぱっと思いつくのは固定資産税の計算に使われる固定資産評価なのですが、相続税の評価をする時は家屋だけ固定資産税評価額を使います。

土地の評価は路線価で計算

土地は固定資産税の評価を使うのではなく、路線価と呼ばれる国税庁が毎年発行している基準価格を使います。

リンク先のサイトから評価したい住所で検索して自分の持ち家がある場所の地図を出します。持ち家に接している道路の路線価と持ち家の土地面積を掛け合わせた数値が土地の評価額となります。

路線価のサイト

例として路線価が120千円で、面積が150㎡なら土地の評価額は1800万円ということになります。

小規模住宅地等の特例とは

先ほどの前提で算出された評価額で相続税を計算すると相続税が非常に大きくなってしまう可能性があります。

一方で残された配偶者が引き続き居住するのであれば、持ち家を売却する訳にもいきませんが、相続税が高くなると持ち家を売ってでも税金を払わなければならないケースも出てくると思います。

売却できないのに相続税が発生すると残された遺族の生活が大変になるので、そのようなケースを考慮したのが「小規模住宅地等の特例」です。

なお宅地の中には事業用にしていた宅地も対象になります。

特例の内容

小規模住宅地などの特例が適用されると、相続税における持ち家の評価額が80%カットされます。5分の1になるという事ですね。

評価額が5000万円だったのが1000万円になる訳でこれは非常に大きいです。

小規模住宅地等の特例を受けるための条件

それでは小規模住宅地等の特例を受けるための条件を書いていきます。基本は以下の要件を満たせば特例を受けることができます。

相続前の用途

亡くなった人が自宅または、事業用として利用していた宅地であること。

相続後の利用状況

相続人が同居していて、相続後も継続して住むこと。

実態として同居していなければなりません。住民票が同じなどではダメです。この辺の税務署の追求は非常に厳しいので、実態として同居している必要があります。

土地の面積の上限

自宅用の土地…面積が330㎡(約100坪)まで

事業用の土地…面積が400㎡(約120坪)まで

もともと小規模住宅などの特例は相続人が引き続き安心してその住宅に住んだり事業を継続したりすることが出来るように設けられた特例なので、このような要件がついている訳ですね。

補足

少し前まで持ち家が二世帯住宅となっている場合で、建物の中でお互いに行き来ができない構造だった場合は、「別居」とみなされ適用外となっていました。しかし現在は、区分所有の建物登記(区分登記)がされていなければ「同居」としてみなされ適用を受けることができます。

空き家となっていたケース

介護施設に入居していたなどの理由で空き家になっていると、かつては介護施設などが自宅とみなされ、小規模住宅などの特例が適用されませんでした。
現在では、以下の条件を満たしていれば自宅として認められ、この特例を受ける権利があります。

・要介護認定を受けている等、被相続人に介護が必要なため、介護施設に入所している。

・対象となる持ち家を賃貸などの用途に使っていない

この2点を満たして先ほどの要件を満たしていれば、小規模住宅などの特例が適用されます。

適用される他の条件もある

小規模住宅などの特例は継続して居住する人を税優遇する目的で設定されているわけですが、ある条件を満たしていると適用を受けることが出来ます。

・2次相続である。

・適用を受ける相続人とその配偶者が、相続が発生した時点からさかのぼって3年以上持ち家を所有していない

この2点を満たしていれば、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

この場合は小規模宅地等の特例で必須要件だった「被相続人との同居関係」「その後、継続して居住するか」は必要ではありません。

2次相続とは、相続人に配偶者がいない状態の相続のことです。事例として父親がすでに亡くなっており母親だけがいて、その母親が亡くなった場合の相続が2次相続となります。

特例的に小規模住宅などの適用を受けるためには、ざっくり書くと「子供(孫)だけが相続人で、そのなかに過去3年以上家を所有していない人がいれば小規模宅地等の特例を受けられる」という事になります。

小規模宅地等の特例で相続税がゼロでも申告を!

小規模宅地等の特例の適用を受けた結果、相続税が0円になるケースもあります。しかし0円だったからといっても申告は不要にはなりません。この特例の適用を受けた人は、たとえ相続税額が0円であっても相続税の申告手続きが必要となりますので注意してください。

空き家の活用は自宅の評価額次第

ここまでの内容を踏まえると、親が介護施設に入所したために持ち家が空き家になったような場合はその評価額(売却査定、相続税の評価額)を踏まえて3つの活用法が考えられます。

1. 売却して現金化しても相続税が発生しない(ほとんど発生しない)場合は、売却する。

持ち家を売却した場合、基本的には相続税の評価額よりも高く売れることが多いのですが、それでもなお相続税が発生しない程度であるなら、売却するというのもおおいに考えるべき活用法です。

現金化しておけば相続人に分配が容易く、相続で揉めるというリスクを大きく減少させることが出来ます。

2. 小規模宅地等の特例がなくても相続税が発生しない、もしくは小規模宅地等の特例の適用を受けられる相続人がいない(2次相続で子供が全員持ち家をもっている等)時は賃貸として活用する。

売却すると現金が増え過ぎ、大きな相続税が発生してしまう事が想定される場合で、小規模宅地等の特例を受けることが出来そうにない場合でも売却せず保有するのが賢明です。なぜなら相続税の評価額は実勢の売買価格よりも低いからです。ただしこの場合、空き家のままにしておくのはもったいないので、賃貸として貸しておくというのも有力な活用法になると思います。

3. 2次相続でも小規模宅地等の特例が受けられそうという場合は、空き家のままにしておく。

小規模宅地等の特例を受けることが出来そうで、そうする事で相続税を大幅に軽減できるという場合は、売却すると相続税が大きくなるし、賃貸にしてしまうと小規模宅地等の特例が受けられないので、このケースはあえて空き家のままにしておくという事が活用という事になるのだと思います。これが巷でよく言われる不動産による相続税対策ですね。

但し空き家だからといって放っておくとどんどん傷んでしまうので、定期的に清掃するとか、プロに任せて清掃するなどの措置はしておいた方が良いです。

清掃費は小規模宅地等の特例を利用して相続したのちに売却する時に、より高く売却するための先行投資だと割り切りましょう。

空き家をどのように活用するのかは、先ほど紹介した相続税の評価額の算出方法と、一括査定サイト(オススメの不動産一括査定サイトはこちら)を活用した持ち家の査定からそれぞれの評価額を出してみないと活用計画が立てようがありません。

まずは、「相続税の評価額」と「持ち家の売却査定」を行い、持ち家をどのように次世代に伝えていくのか、じっくり検討していただきたいと思います。
その検討にこのサイトが役に立てばうれしいです。

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